ドローンの選び方。その原理から理由を解説。値段に見合ったドローンを見抜こう!

ドローン

ドローンには明確な定義はありません。いわゆるマルチコプターと呼ばれるものもドローンだし、農薬散布用に開発されている以下のものだってドローンです。

drone

https://www.yamaha-motor.co.jp/ums/heli/

ちなみにこれは、ヤマハ発動機が開発している「産業用無人ヘリコプター」です。これもドローンに含まれます。明確な定義があるわけではないので、

無人で飛び、主に遠隔操作で制御する航空機

くらいのイメージを持っておきましょう。

プロペラの形

さて、数多くあるドローンはほぼすべてプロペラを持っており、プロペラが上向きの力(揚力といいます。「ようりょく」)を生み出すことによって、空を飛んでいます。では、なぜプロペラが回ると、飛べるのでしょうか?正解はプロペラのその断面に特徴があります。

断面、、、そう。飛行機の翼も断面形状が大事でした。

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この形状のプロペラが回ることで、空気を下向きに押し出し、その反作用で揚力を得ています。(厳密には、プロペラの時は「推力」。これについては今後。)

頭のいい人が考えた形状(翼やプロペラの断面)に空気を流すと、いい感じに下向きに空気押し出して、その反作用で上向きに力を得るじゃん!っていうことです。そして、このプロペラを持つのがヘリコプター。一つでも飛んでいますね。すごい力です。そして、プロペラは神です。揚力をあんなにも生み出すなんて。。。

余談ですが、ヘリコプターは後ろにも横向きにプロペラがついています。あれは、角運動量をキャンセルしています。つまり、ヘリコプター本体が回らないようにしています。これでも意味分からない人は、映画で撃墜されたヘリコプターを思い出してください。くるくる回っていますよね?後ろのプロペラがないと、ああなってしまうんです。

4つのプロペラ

そして、上記のプロペラを4つ持っているのが、マルチコプター。2つとか3つのものもありますが、角運動量とか対称性とかいろいろ難しいのでやっぱり少ないです。4つが一般的。そして、ドローンはその4つのプロペラの推力を変化させながら移動しています。どうやって推力を変化させるかというと、シンプル。基本的にドローンのプロペラはモーターで回っているので、モーターの回転数をいじればプロペラの回転数をいじることになり、推力がいじれます。どれだけ動かしたらどれだけ動くとかは制御屋さんのお仕事ですね。そして、これがドローンの肝だったりします。次章で説明します。

 

figure of drone movement

 

ちなみに、ドローンは角運動量をキャンセルするために、各プロペラの回転する向きが異なります。もしドローンを所有している方は、動き始め、止まり際のゆっくり回転しているプロペラを見てみてください。回転する向きがわかると思います。

風の影響

上記で説明したプロペラの回転数をいじるという話ですが、理想的な世界(外乱がない)では、理論通りに動きます。しかし、モノというのは、損失や誤差、外乱を考慮する必要があります。そして、ドローンに一番効いてくるのが、やはり風ですね。地面にへばりついてる車でさえ風を受けると煽られます。空を飛んでて、なおかつあんなに軽いドローンは、風の影響をもろに受けます。

ホバリングの難しさ

理想的な世界を考えると、すべてのプロペラの推力の合計をドローンにはたらく重力と同じ大きさにすれば、上下左右前後どちらにも動かないはずです。いわゆる、ホバリング状態です。ホバリングはドローンやヘリコプターの基本でありながら最も難しい動作であると言っても過言ではありません。現実世界には風があります。横方向や上下方向に力を受けると、当然ドローンは動きます。ホバリングしません。精度の高いドローンであればあるほど、すべてのプロペラの推力は等しいはずなので、風の影響を受けると動きます。

フィードバック制御

車のハンドルのように、煽られても立て直せるならいいですが、ドローンでは遠隔操作や無人運転です。となると、その立て直す代わりをコンピュータがやる必要があります。制御屋さんの得意分野、フィードバック制御です。普通であれば、人間が操作した通りにしかモノは動きません。ゲームのコントローラーでも前に進めと動かしたら、前にしか進みません。でも、フィードバック制御をもつモノは、今の状況(モノ自身の姿勢だったり、速さだったり)を常に把握しながら、人間の操作を受けたときに、今の状況も踏まえて、人間の操作に従うような出力を出します。

簡単に言えば、先生が生徒にいつも通り走れ、と命令したとき、生徒はものすごい向かい風を受けていたとします。フィードバック制御を持っていなければ、通常の走る力しか出せず、ゆっくりでしか走れない、もしくは歩くことしかできません。向かい風を受けているので。でも、フィードバック制御を持っていれば、向かい風がいつもより強い、じゃあいつもより速く走らなければいけないな。とこういうことです。

ちゃんとしたドローンは精度は違えど、このフィードバック制御を持っているものになっています。

つまり、多少風が吹いていたとしてもホバリングをしろと言ったら勝手にホバリングしてくれます。便利なものです。

突風

上記で述べたフィードバック制御の精度には限界があります。想定以上の突風を受けると、どうなるでしょうか?車を想像してください。ものすごい風を受けた時、風によって横転はしないとすると、すごく横にずれます。それを立て直そうと逆にハンドルを切ります。しかし、逆にハンドルを切りすぎて、今度はまたその逆に、、、これと同じことがドローンにも起こります。フィードバック制御は突風に対応するも間に合わず、最悪の場合、風に飛ばされた方向に飛び続けたり、暴れ回ったりします。こうして、空港にドローンが落ちていくのです。

ドローンはコントローラーで操作すると、すぐ動いてくれますが、逆にすぐ動くというのは、外乱の影響を受けやすいということです。戦闘機と旅客機の違いみたいなものです。戦闘機はくるくる回ったり、垂直になれたりしますが、旅客機でそんなことをしたら、墜落します。しかし、戦闘機は旅客機以上にフラフラした軽い揺れが常にあるので、乗り心地は良くないです。

ここを調整するのが、以下の記事で述べた3番目の人の仕事です。

面白いですね。と、思うのは僕だけでしょうか?

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ドローンの選び方

ようやく本題にして、最後の章です。

上記を読んでいただければ、なくとなくドローンの原理が分かったと思います。これを踏まえれば、初心者が買うべきは、ズバリ

軽くて危険性のないもの

これに限ります。完璧に操作するのは無理です。あきらめてください。あとは、カメラの性能とか大きさとか、見た目、値段から選んで、必要最低限、危なくないものをご購入してください。具体的には以下のドローンのようなカバーがついており、軽い遊びのようなもの。気合を入れて、高いのを買わないでくださいね。お金の無駄であり、宝の持ち腐れですから。

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