飛行機の「三密」問題。三密ではなくとも、要注意
はじめに
飛行機では密集、密室、密接の「三密」が揃っている気がしますが、
以下の記事で「二密」だったという話をしました。
しかし、インフルエンザやSARSは実際のときは実際に感染が広がっているのが報告されているようです。
飛行機の中は本当に大丈夫なんでしょうか?
現状の問題点
以前の記事では、飛行機内は換気されているし、室内に入ってくる空気はHEPAフィルターという99.7%の粒子除去能力をもつ高性能なフィルターを採用していると挙げました。
しかし、やはり不安に思う人は多く、室内の空気の質に関して懸念の声を挙げる研究者や団体があるようです。
その大きな懸念点として、
循環システムで、空気の約50%が再利用されている
ということです。
飛行機が飛ぶ高度では、圧力や気温の関係から外気をそのまま取り入れることはできません。上空はとても寒く、圧力も低いので高山病のような症状になってしまいます。
そのため、エンジンで高温圧縮された空気を使って、室内の温度や圧力に調整することで、燃費の向上につながっております。
そのため、一度室内から出た空気をすべて捨てるというわけではなく、約50%は再利用しております。
もちろん、再度室内に入れる際には、HEPAフィルターを通しているので衛生的には大丈夫なはずですし、地上での換気も結局、誰かが出した空気を入れているわけなので大差ないと思うんですが、ここでは黙っておくことにします。
循環システム
約50%が再利用されている循環システムですが、一回の循環が室内中にまわることは少ないです。
というのも、
飛行機の循環システムは、上部から室内に空気が入り、下部や側面から室外に放出されます。水平方向の循環は起こそうとはしておりません。(人の動きで起こってしまうことはあり得ます)
したがって、隣の席や前後の席の空気は多少混ざれど、複数離れた席の空気は混ざりにくい状況となっています。
しかし、室外に出され再利用される空気はもう一度集合させられます。
先程申したように外気を混ぜ、圧力や温度を調整するためです。
その時に菌が混ざり、それが室内に入れられることで室内中に菌がひろがる、というのが懸念されれいる理由です。
SARSの報告例
実際に報告例を見たほうが早そうです。
こちらは香港から北京までのフライトないでのSARS感染者を表しています。
この研究では、この3時間のフライトでの感染の起こった理由として以下が考えられると述べています。
- 直接的な接触というよりも、空気を介して感染した
- フィルターが悪さをした
- フライトではなく、その前後で感染した
実際、はっきりとした原因はわかっておりません。
今のコロナウイルスでもそうです。感染ルートがはっきりしません。
見えなくて、大量にいるウイルスを追うのは不可能ですが、可能性を潰していく、低くしていくことは可能です。
対策
これを機会にテレワークやムダの削減など、思い切った改革が進んでいくと嬉しいです。
クルマでも自動運転が進み、車内空間により価値が広がっていきます。その中でも、「空気との接触」という人間には避けられない問題に対して、興味が広がるといいですね。
個人としてできることは、
結局、「外出自粛」に繋がるんでしょう。(国の回し者)
飛行機に乗るときは、しっかりマスクをしましょう。喉を潤すことも大事です。(だれでも言える)
湿度についても、今後記載していきたいと思います。
参考文献:
Mangili, A. and Gendreau, M.A., 2005. Transmission of infectious diseases during commercial air travel. The Lancet, 365(9463), pp.989-996.