クルマは電動化が叫ばれて久しいけど、飛行機とかヘリコプターは?「電動飛行機」の実情は?

電動飛行機とは?

車の電動化は世間的にもHOTな話題となっている。各車メーカーが既存のエンジンからモーターに変えたクルマを開発しようと必死になっている。アメリカでは、電気自動車のみを製造、販売する「テスラモーターズ」が市場の評価を得て、株価は上昇している。世の中のニュースを見ても、特に日本では、車の電動化ばかりだが、飛行機は?と疑問に思う人もいると思う。車はモーターにすればいいけど、飛行機もモーターにするだけで、飛べるの?開発状況はどうなっているの?そんな疑問に答える一助となれれば幸いである。

eVTOLの開発状況は私なりにまとめたが、(以下、記事)

www.sukenojo.com

eVTOLとは主に、小型に分類される。では、我々が海外旅行に行くときに乗るあのバカでかい大型の飛行機達は、電動化していないのか?

結論から言えば、開発はしている。

しかし、もちろんそこにはいくつかもの課題がある。そして、その課題はまだまだ実用化に遠い。

 

今回の記事は、筆者が航空宇宙工学の授業を基に自分なりに解釈した内容である。

エンジン方式

飛行機はジェットエンジンだ。空気を吸って、燃料を燃やして得たエネルギーを空気に与えて、後ろからその空気を吐き出すことで、推力を得ている。これには、様々な方式があるのだが、今までも今も、このエンジンをより高効率にしようと頭のいい人達が頑張っている。

このエンジンを電動化するには、基本的に車と同じだ。

回転エネルギーを電力から得るようにすればいいだけだ。詳しいジェットエンジンの原理はググってみてほしいが、

燃料の熱エネルギー→ファンの回転エネルギー→推力

という既存の方法を

電気エネルギー→ファン(モーター)の回転エネルギー→推力

にすればいい。

簡単に書いたが、ここでもやはり課題は車と同じく、電池の容量やエネルギー密度、エネルギーの大きさだ。

とりあえずハイブリッドで。

まあとりあえずハイブリッドを考える。モーターのエネルギーが足りないなら補おう。

  1. All Electriic方式
  2. Series Bybrid方式
  3. Parellel Hybrid方式

ハイブリッドの基礎は車も飛行機も同じです。読んで字の如し。

今はこれが実用的なんじゃないかという議論もありますが、正直、逃げの一手だし、これを開発するのにお金と時間をかけるくらいなら、オール電化の飛行機開発に力を入れるよねというのが大方の意見なのではないでしょうか?

航空機の電動化、実は効率的にも最適解

航空機の電動化は、もちろん環境のためではあるが、実はなるべくしてなりそうなのである。というのも、現在のジェットエンジンは、翼の下についているあれだ。あの丸っこいの。あの丸っこいのの効率を上げるためには、バイパス比という、前面から吸った空気のうちどれだけをエンジン内部に入れるかという比、を上げる必要がある。簡単に言うと、とりあえずあの丸っこいのを大きくしておけば、効率は上がる。(もちろん、重さや耐久性などもあるけど)

実際、今の民間旅客機は、あのエンジンは地面スレスレの大きさになっている。もう大きくするのは限界なのだ。翼上げればいいじゃん、って思うけど、翼は美しいものだから。あれが最適だから。そして、着地するときとかの衝撃も考えると、タイヤ(飛行機の下から出てくるやつ)もあの長さくらいがいいんだよねえ

ってことで、大きくするのは限界。

ということで、さらなる高効率化を目指すなら、既存のエンジンでは限界がやって来くるため、電動化は必然だったということである。

 

f:id:Sukenojo1023:20200217170246j:plain

多発分散化

上記の解決策として、今上がっていのは、多発分散化したエンジンだ。つまり、数少ないエンジンで担っていた役割を、小さいモーターをいくつかも使うことで、補おうということだ。これは、電動モータの出力が弱くても、理論的には飛ぶことはできる。これに向けても、各国で研究されているだろう。

航空機電動化コンソーシアム(ECLAIR)

では、電動化に向けて、日本はどうアプローチしているのか?なぜ日本というくくりかというと、車と同じく、飛行機もなかなか新規参入がしにくい。というかゲキムズ。

だから、日本として戦っていく必要がある。その日本が行っているのが、

航空機電動化コンソーシアム(ECLAIR)

目的

今まであまり関わることのなかった、電気産業と航空産業との連携強化のため

→小型航空機の電動化や装備品の電動化。最終的には、旅客機のエンジン電動化

という目的がある。

読み方は、「エクレア」。美味しいね、うん。

「次世代航空イノベーションハブ」

上記で説明したのは、この

「次世代航空イノベーションハブ」の一種である。

JAXAのHPによれば、

異分野・異業種との連携強化

次世代航空イノベーションハブは、異分野・異業種も含めた多様な組織の連携によるオープン・イノベーションを通じて社会の変革につながるハイインパクトな成果を創出し、社会や産業界への橋渡し機能により研究開発成果の社会実装を実現します。このため、運航会社などのユーザー、航空機メーカー、さまざまなサプライヤー、研究機関や大学の人たちと一緒になって、広く人材・知を糾合し、これまで以上に効果的・効率的に航空科学技術の研究開発を進めます。これにより、「社会課題の抜本的な解決」と「社会への新たな価値の提供」を目指します。

http://www.aero.jaxa.jp/about/hub.htmlyより引用

アメリカでは、NASAが先導してきたが、日本ではJAXAが先導して航空機産業を盛り上げていこうとしている。

f:id:Sukenojo1023:20200217170251j:plain

http://www.aero.jaxa.jp/research/frontier/feather/より引用

水素燃料という選択肢

上のように述べてきたが、やはり電動化は難しい。車でさえあれだ。飛行機では、コスト無視でも良いとなっても、エネルギー密度や信頼性の観点からも、そもそも飛ばすことさえ難しいだろう。そこで、上がってくる選択肢は、水素燃料だ。

燃料電池の強み

車と違って、事故した時のリスクなどをあまり考える必要がない(そもそも事故をしてはいけないから)飛行機にとっては、分子量が小さい水素燃料を使うことはとても理にかなっている。過去にも、Airbus “CRYOPLANE PROJECT”やEADS IW, R&R”E-Thrust”などいくつかプロジェクトが上がっている。

上記したようにその最大の強みは、発熱量/重量が大きいことだ。重量が大きな要因になる航空機にとっては生命線ともいえる。

将来性

水素のサプライチェーンも発展してきており、その価格はどんどん下がっている。さらには、

  • 大規模かつ長期のエネルギー貯蔵で有利
  • 地形や地質など、環境条件による影響も少ない

という点も挙げられ、その将来性は高く期待されている。

超電導技術

燃料電池ともう一つ挙げておきたいのが、超電導技術の発展だ。詳しい原理などは全くわからないのだが、実現により、モータの飛躍的な軽量化の可能性を秘めているようだ。また、水素を燃料とする場合、燃料電池との組み合わせにより電動化が行いやすいというメリットも挙げられる。頭の片隅でにもおいておいてほしい。いつかその言葉をニュースで聞くときが来るかもしれない。

まずは小型から

結論、旅客機の電動化は当分無理である。eVTOLの開発が盛んになっているように、まずは小型から電動化し、技術の発達と共に、旅客機に挑戦していくこととなるだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA