eVTOL実用化はいつ?日本や世界の開発状況は?
eVTOLとは(おさらい)
eVTOLの読み方は、「いーぶいとーる」。
eVTOLとは、トヨタがJobyと協業を発表し、一躍有名となった「次世代のモビリティ」「そらとぶクルマ」。筆者なりにeVTOLを説明した記事は過去にある。
日本でのeVTOL開発状況
まずは、日本で開発されているものを簡単に見ていく。私が探しきれなかった情報は空欄にしてある。ご了承ください。
私の探せる限りでは、全部で5つの団体や企業が開発に取り組んでいる、もしくはコンペなどで公表していることを発見した。5という数字を多いと見るか、少ないと見るかは、人それぞれであろう。
NEC
- 機体名:eVTOL
- 乗客数:4人
- 最高速度:
- 飛行距離(時間):
日本人なら誰もが知る電機メーカーNEC。2019年8月に初公開。3mの高さで1分初飛行。実際の実験動画があり、機体はセンスが感じられず、バンとか輸送機みたいな見た目をしている。
JAXA
- 機体名:Hornisse
- 乗客数:2人
- 最高速度:
- 飛行距離(時間):
我らがJAXA。室内でのホバリング試験を終了。屋外での水平飛行を行い、制御技術の獲得を目指す段階。飛行機のような見た目をしており、マニアは好きそうな見た目だ。今あるものからの発展のようなイメージで、既存の枠を超えられない日本人らしい機体だ。筆者は割と好きだ。
HX-1
- 機体名:Hirobo Bit
- 乗客数:1人
- 最高速度:100km/h
- 飛行距離(時間):48km (30分)
2012年に発表され、2013年5月にVFSフォーラムでディスプレイされた。捜査、救助、緊急避難などのために開発されており、一般向けではないようだ。ヘリコプターや無人産業用ドローンを開発しており、飛ぶことに関する技術は蓄積されている。
VFSフォーラムでの発表後の情報は見つけられなかったため、現在の開発状況はどのくらいかわからない。
teTra3
- 機体名:teTra
- 乗客数:1人?
- 最高速度:
- 飛行距離(時間):
2018年6月GoFly competitionでPhase1の勝者として選ばれた。
GoFlyというのは、そらとぶことを夢見る人たちを応援するコンペだ。そのPhase1は、書類審査のみで賞金が出る。残念ながら、技術仕様書や試作機が必要となるPhase2には参加していない、もしくは落選してしまった。
風の谷のナウシカのメーヴェのような見た目だ。
Cartivator
- 機体名:Sky Drive
- 乗客数:1or2人
- 最高速度:100km/h
- 飛行距離(時間):
ここは国内でも、最も具体的に開発計画が組まれており、資金調達にも成功してきている。15億円の資金調達、愛知県豊田市の飛行試験場をもち、2018年12月無人形態で屋外飛行試験成功。2020年夏にデモフライトを目指している。
日本のまとめ
このように複数の開発機が存在しているが、どこも実用化には程遠い。人が空を飛ぶというのは、安全が担保されていないと難しく、そこが一番時間のかかるところでもあるので、(MSJが苦戦しているように)しばらくは国内企業のeVTOL実用化は難しいであろう。
世界でのeVTOL開発状況
では、どんどん先を行く世界に視野を広げてみよう。
開発状況
世界の開発状況は以下のページにまとめられており分かりやすい。進んでいるのは、北米(主にアメリカ)、欧州だ。中国を含むアジアは、欧米に比べてかなり遅れている(開発団体が少ない)ことが見て分かる。
中国ではほとんど開発されておらず、IT系のような勢いは見られない。空を飛ぶということは、ノウハウが必要でその点では、やはり欧米が有利だろう。
以下では、私の興味あるもの、開発が進んでいそうなもの(あくまで主観)をピックアップした。世界にはまだまだ開発が進んでいる企業が多くあるので、上のページから調べると、面白い。
Joby
- 機体名:Joby S4
- 乗客数:4人
- 最高速度:321km/h
- 飛行距離(時間):240km
衝撃的な額で、トヨタが協業を発表したJoby。トヨタがそらとぶクルマを本気で作ろうとしていることが伺える。ただ、Jobyという企業はそれまで聞いたことがなく、日本人にははてなが浮かんだ。(そもそもeVTOLにはてなが浮かんでいるだろう)それは単なる井の中の蛙大海を知らず、である。
以下の記事にあるように、Joby AbiationはNASAと共同研究を進めてきている。まさに「トップランナー」だ。そことトヨタが手を組み、本気で開発、量産しようとしている。Jobyは2023年の商業化を目指している。トヨタと組み、この計画がどう変化したかはわからないが、見えているのは実用化ではない。商業化だ。
↓Joby AbiationのHP
↓NECがまとめた情報
Boeing
- 機体名:PAV
- 乗客数:2人
- 最高速度:
- 飛行距離(時間):50マイル
まずは、日本の重工会社たちの親会社である、ボーイングが開発する機体だ。離陸、ホバー、着陸に成功。そして自律機能や地上管制システムなどのテストにも成功している。さすが、我らが親会社だ。開発スピードも速い。Boeingの子会社で有り続ける限り、日本は安泰だろう。
Boeing&Porche
- 機体名:
- 乗客数:2人
- 最高速度:
- 飛行距離(時間):
こちらはBoeingとポルシェとの共同開発の機体だ。2020年に試作機で飛行の予定。プレミアム個人都市航空タクシーのため、開発されているらしい。ポルシェというだけあって、やはり高級志向が強そうな機体だ。
正直、めちゃかっこいい。バッドマンを彷彿とさせる。
Airbus
1つ目
- 機体名:City Airbus
- 乗客数:4人
- 最高速度:120km/h
- 飛行距離(時間):15分
2つ目
- 機体名:Vahana
- 乗客数:1人
- 最高速度:220km/h
- 飛行距離(時間):50km/h
欧州を束ねる航空会社もさすがだ。すでに異なるターゲット向けに開発を進めている。Vahanaでは、2018年にフルスケールモデルでフライト実験に成功している。最高速度や飛行持続距離も詳細に出ており、本気で実用化しようとしている気持ちが見える。
Uber
- 機体名:Uber Air
- 乗客数:3~5人
- 最高速度:241km/h
- 飛行距離(時間):
Uber TaxiやUber eatsという天才的なシステムを考えたあのUber。とどまるところを知らず、空にも飛び出している。様々な企業と協力しており、詳細な仕様書もネット上にはあり実現が近いことが伺える。2020年にデモンストレーションフライトを実施。
@DallasとLos Angeles
https://www.uber.com/jp/en/elevate/uberair/
Aston Martin
- 機体名:Volante
- 乗客数:3人
- 最高速度:
- 飛行距離(時間):
こちらは私のイチオシ。あのAston Martinがクランフィールド大学、クランフィールドエアロソリューション、ロールスロイスと協力して、高級者向けに考えているものだ。細かい開発状況とか抜きにして一番かっこよくないっすか?乗るんだったらこれがいい、うん。というか、そらとぶクルマは最初からかっこよく作ればよくない?空を飛ぶって、ロマンがあるものだもの。そこに機能性を考えるのは、優先度低い、うん。
まとめ
日本と世界の状況を感じただろうか?日本は第二次世界大戦で負けた後、航空業界でかなり遅れをとった。それまでは零戦という世界に通用する技術を持っていたのにも関わらず。もはやそんなこと言っているような時代ではない情報化社会だが、それでもそらとぶクルマができたときに、日本が立ち位置を失っていないことを願うばかりである。