空とぶクルマeVTOLのシミュレーション結果
空とぶクルマeVTOLのシミュレーション
空とぶクルマの最有力候補であるeVTOL(いーぶいとーる)
electric Vertical Takeoff and Landing
「電気で動く垂直に離着陸する航空機」のことです。
eVTOLに関するシミュレーションの研究があったので、それについて調査したいと思います。
なお、参考にしたものは以下です。
https://elib.dlr.de/125006/2/STAB_Wilke.pdf
DEP
突然出てきた英語、すいません。
Distributed electric propulsion =分散電気推進
つまり、電気で動くモーターがたくさんついている機体のことです。
もう少しわかりやすく言うと、
旅行に行く時に乗る飛行機はエンジンは翼の下についている丸いやつ2つ(または4つ)
なのに対して、
DEPというのは以下のような写真のような機体です。
https://www.airbus.com/innovation/urban-air-mobility/vehicle-demonstrators/vahana.html
これはエアバスが開発している空とぶクルマeVTOLですが、
DEPというのは、プロペラがたくさんついている、分散されている機体(正確には推進機能)のことです。
これのメリットとして、
などが挙げられます。
いろいろ書きましたが、
空とぶクルマeVTOLという枠組みの中で、プロペラをたくさんもっている機体の総称です。
用いる空とぶクルマeVTOL
世界中に数多くの空とぶクルマeVTOLが開発されている中、
(世界中の空とぶクルマを知りたい方はこちら)
この研究が取り上げている機体というのは、
=実用化に近い機体
=将来、自分たちが乗る可能性が高い機体
これらを取り上げて、その効率や飛行性能を比較することが目的となっている研究です。
自分が乗る「クルマ」だと想像を膨らませながら見ていきましょう。
eHang
EHang | UAM – Passenger Autonomous Aerial Vehicle (AAV)
こちらは、中国の機体です。詳しくは述べませんが、正直すごいです。
HPを見ていただければわかります。めちゃしっかりしてます。
「中国製は、、、」なんて言ってる日本人ばかりだから、日本はどんどん落ちていくんです。日本が中国に勝てるものはいくつあげられますか?
そろそろ中国の技術力を認めましょう。
話がそれました。
この研究では簡単のため、以下のようにこの機体を簡単にして考えました。
え、こんなんでいいの?笑
あくまでこの研究は比較なので、大丈夫です。
次の機体と比べればわかりますが、プロペラの位置がかなり違っていて、それを比較する研究です。
A Vahana
https://www.airbus.com/innovation/urban-air-mobility/vehicle-demonstrators/vahana.html
こちらは再掲になりますが、エアバスの機体です。欧州ですね。
ボーイングとエアバスという航空機の二大巨頭の一角だけあって、やはり技術力はとても高いです。
こちらは以下のようにモデル化します。
先程の中国のeHangと比べてプロペラの数も位置も異なることが分かると思います。
ちなみに、この機体はプロペラの向きが変わるんです。詳しくは以下の記事で。
そらとぶクルマeVTOLの課題とは? – 鯖の骨は美しい By輔之丞
なぜ簡単化(モデル化)するか
一番の理由は計算コストです。
これだけ技術が発展していても、空気の流れのシミュレーションをするには、ものすごい時間がかかるんです。また、スパコンもいります。
本気でやろうと思うと、スパコンを使っても1週間とかは余裕でかかります。
だから、簡単(モデル化)にして考えないとだめなんですね。
研究から分かったこと
上記の2つと従来のヘリコプターを比べたグラフが以下となります。
青:中国のeHang
赤:エアバスのVahana
緑:従来のヘリコプター
このグラフだけから分かることは
- Vahanaがスピード、飛行距離共に最も高い数値
- eHangは、従来のヘリコプター、Vahanaよりもすべてが低い数値
ただ、プロペラの数も違えば、推力も異なります。
プロペラの回転面積当たりで考えると、eHangの効率が最も高いという結論をこの研究は述べています。
空とぶクルマもクルマなので、人々の好みによるのではないでしょうか?
燃費(電費)を求める人もいれば、速さや航続距離を求める人もいる。
さらに、クルマ業界を見れば分かるように、性能が良ければ受けるわけでもありません。安全性やデザインもあります。
何が一番優れていて、とかではなく、それぞれが強みを生かせるような役割を果たすことが大事だと思います。
他にもこの研究の結論として、
- ホバリング時の効率は、翼があることで増せる
- ティルト型(エアバスのVahanaのような機体)は、4つのプロペラよりも8つのプロペラの方が効率が良い
- 最も重い機体が最も長い距離を飛ぶ
- 高い飛行性能を得ることは簡単であるが、eVTOLの成功はどこでも、1安全性2経済性3騒音、で決定される
まとめ
以上、簡単に見てきましたが、いかがでしょうか?
研究の結論の最後にも述べられているように、必要な飛行性能を得られるのは簡単で、多くの企業が達成している現実があります。
しかし、そこで実用化までの大きな大きな壁があることが現状です。
空とぶクルマを早くうちの駐車場に止めたいですワン。