自動車業界のESの書き方
はじめに
自動車業界のESはある意味で特殊かもしれません。多くの自動車系企業の採用に関わる方とお話して、日本の自動車業界ならではの特徴を感じました。
私は2021年卒で、同じ企業のインターンシップ選考に2度落ちましたが、無事に内々定を得ることができました。(参考:2021年卒就活体験記。1年を振り返りました)
そんな経験を踏まえて、自動車業界のESで絶対に踏まえておくべきポイントをお伝えしたいと思います。
ESを読むのは「会社」ではなく「人」
まず、前提としてESを読むのは人です。
何を当たり前のことを、と思っているかもしれませんが、ESを書きまくっている就活中は意外と意識できていません。人が読むということは、
- 読みやすさ、伝える能力
- 読む人もその人自身の「経験」から「解釈」している
これら2つを意識することで格段に通りやすいES、そしてES通過後の面接においても臨みやすくなります。
読みやすさ、伝える能力
これは最重要です。ESというのは通常、文字制限があります。そして、陥りがちなミスとして、
書き手(自分自身)と読み手(選考する企業の人)との背景が違えば、同じ文章の解釈も大きく異なる
ということを忘れて書くことです。これはなかなか言われない話だと思います。私もある人事の方とお話する中でこのように感じました。
例えば、以下のような文章を読んでみてください。
- サッカー部の活動で、運営管理の制度を整えました。金銭について不安のあった部活でしたが、積極的にOBとのつながりを増やすことでOBからの支援を増やしていきました。
- 居酒屋のアルバイトで、SNSを始めとした集客を継続して行いました。アルバイトの仲間と共に役割分担して、集客を行うことで、結果的に平均して売上を1日10万円上げることができました。
それぞれどのように解釈できますか?背景がもっと知りたくなりませんか?
もっと知りたいと思うような内容では、そこに「解釈の差」が生まれます。これはつまり、読み手が自分の経験に近い経験をしていれば、プラスにはなりますが、読み手が全く経験したことのないような内容ならば、こいつは何を言っているかわからん、となってマイナスです。
これこそが、商社には体育会系の内定者が多く、コンサルには意識高いカタカナを使う内定者が多い理由です。
すなわち、読み手が「共感しやすい」のです。逆に言うと、読みにくい文章、伝える能力が低い文章は、読み手が自分に近いか近くないかで合否が変わってくる「ギャンブル」です。
読みやすい文章の大切さが分かっていただけたでしょうか?具体的にどうしていくかは後述したいと思いますので、最後までお付き合いください。
情報収集から分かる「本当の」求める人材像
では次に内容で重要な点に移っていきます。
上述した前提がある中でも、内定をもらうためにはより「共感しやすい」内容にすることが大事です。となると、次に意識すべきことは
- その会社にどういう人が多いのか
- 表向き(ホームページの内容など)では、その会社がどのような人材を求めているのか
- 実際の現場の社員の声では、どのような人材を求めているのか
を意識することで、その企業の内定に大きく近づくことができると思います。
その会社にどういう人が多いのか=人事はどういう人を採用する傾向にあるのか
これはメーカーによっても、就活生によっても、解釈は大きく異なります。
例えばトヨタの場合、日本を代表する企業という誇りをもって仕事に打ち込める人が多くいるなあと、私は感じました。言い方を変えれば、広い視野をもって仕事に向き合ってくれる人です。トヨタ社員に根っからの車好きはあまりいないと言われている理由の一つでもあると思います。
ホンダであれば、すべてのモビリティを作っており、その技術力、何でもやり遂げる推進力のようなものを感じます。
上記はあくまで「就活生としての私の解釈」です。実際は違うかもしれませんし、合っているかもしれません。でも、少なからずそのような考えを持って、説明会などで社員と接していると選考に対する気持ちやESの内容も大きく異なってくるのではないでしょうか?
表向き(HPの内容など)はどのような人材を求めているのか=経営陣が欲している
その企業がどのような方向を目指しており、どのよう人材を求めているかの情報を得ることです。この情報に従うかどうかは別として、人事もそういう方向に採用選考することは間違いないでしょう。そこで違いを見せて目立つ存在になるか、求める人材になりきるか、は人それぞれだと思いますが、前提として頭に叩き込んでおくのは、スタートラインに立つ準備と言ってよいと思います。
古い体質の企業は日本にまだまだ多くあります。特に、自動車業界であれば、特にその傾向は強くなります。そのような企業の多くは、「変化を好む人」すなわち会社の体質を変えてくれる人を望む傾向があります。
現場の社員さんはどのような人材を求めているか=(内定決定への影響度が高い)部長、課長クラスが欲している
上記のような前提がありながらも、実際に採用の選考をするのは、人事や技術系の部長(課長)クラスだと思います。結局、現場の人です。いくら、経営陣が掲げている人材像がありながらも、その人たちが本当に欲しいと思う人材は違うかもしれません。
この差はとても重要です。いくら経営陣が求めている人材に合っていても、実際の採用する人事や部長クラスの好き嫌いは必ず出ます。
そんなの不公平だ、と思うかもしれません。しかし、現実です。採用する人たちは来年から一緒に働く人を選ぶのです。自分が採用する側を想像してみてください。どんな人を選びますか?
実際に書く前に
いろいろ書いてきましたが、まとめると、
- 解釈に差異が生まれない内容、文章
- 選考するのは「人」であり、「会社」ではない
ということです。これを踏まえて、実際に書く前にすべきことをまとめます。
ホームページやネットの情報から徹底的に企業を調べる
徹底的に調べます。私なりのポイントとしては、上場企業であれば、必ず公表されている「統合報告書」を読むことです。これマジでおすすめです。以下の内容に注目して読んでいきます。
- 事業内容ごとの売上
- 直近の売上変動
- 力を入れている事業
- その会社の現状の弱点
いわゆる「企業分析」ですね。ただただホームページ眺めてるだけじゃ、きれいな情報しか出てきませんよ。。。
OB訪問して、そのOBが欲しい人材を実際に聞く
次のステップが周りと差をつけるポイントです。実際に、OBもしくは説明会にいる企業の人に「どんな新入社員がほしいですか?」と聞いてみてください。その時に、「そりゃあ、企業の求める人材に書いてあるように、、、」といって、逃げる社会人がいますが、そこでもう一歩「では、〇〇さんが実際に働いていて、こういう部下ほしいなあと思ったことありますか?」と踏み込んでみてください。きっといろいろ話してくれるはずです。(参考:OB訪問は絶対にすべき)
それを多くの人に聞けば聞くほど、それはその会社の人=採用側がほしい人材です。
以上を踏まえた上で、その欲しい人材に近くなるような書き方をすれば大丈夫です。けっして、嘘をかけといっているのではありません。一つの出来事でも、書き方によって解釈は当然大きく異なります。
ということは、書き方次第でどういうふうにでも解釈できるようになる、ということです。
実際に書いている時に
では、書いた後のフィードバックをしていきましょう。解釈に差異がないか、しっかりと伝わっているかを第三者の目で確認してもらってください。自分に近い人ではなく、企業に近い人に読んでもらうことが重要です。
- 実際にその会社で働く社員
- 同じ業界で働く社会人
- お父さんお母さん世代(採用側になった経験がある)
逆に自己満足なESに陥りがちなパターンが以下のような人に添削してもらうことです。これ身近な人ばかりで、手軽なんです。でも、身近が故に今までの生きてきた背景が近しい場合が多く、解釈の差異が生まれにくくなります。
- 研究室やゼミの友達
- 内定をもらっている先輩
- 社会人1、2年目の先輩
まとめ
自動車業界のESの書き方がわかっていただけたでしょうか?全業界に通じる内容かもしれませんが、私は自動車業界しか受けていません。他の業界でも当てはまるとは限らないので、自動車業界というくくりにさせていただきました。
大事なことなので、もう一度。
- 解釈に差異が生まれない内容、文章
- 選考するのは「人」であり、「会社」ではない